「採用活動を始めることになったものの、どのような人材を採用すればよいか分からない」と悩んでいませんか?
採用活動を成功させるためには、自社が求める人材の条件や範囲である「採用ターゲット」を明確にすることが大切です。採用ターゲットが曖昧なままでは、求人内容や選考基準にずれが生じ、採用活動がうまく進まない可能性があります。
本記事では、初めて採用を担当する方に向けて、採用ターゲットを決める目的や具体的な手順、設定する際の注意点を解説します。具体例も紹介しますので、自社の採用ターゲットを整理する際にお役立てください。
採用ターゲットとは
採用ターゲットとは、企業が採用したい人材の条件や範囲を整理したものです。任せたい仕事内容をもとに、必要な経験やスキル、人柄などを整理して設定します。
採用ターゲットを決める必要性・メリット
求人票に記載する内容を決めやすくなる
採用ターゲットを決めることで、求人票に記載する仕事内容や必要な経験、求める人物像などを整理しやすくなります。その結果、自社がどのような人材を求めているのかを、求職者に具体的に伝えられます。
仕事内容や期待する役割をあらかじめ具体的に伝えることで、入社後の認識のずれを減らすことにもつながります。
採用手法や媒体を選びやすくなる
適した採用手法や求人媒体は、採用ターゲットによって異なります。例えば、若手の未経験者と経験豊富な専門職では、利用する求人媒体や効果的なアプローチ方法も変わります。採用ターゲットを明確にすることで、採用活動の進め方を判断しやすくなり、効率的な採用につながります。
書類選考・面接の基準を統一できる
採用ターゲットが曖昧な場合、採用担当者と面接官の間で採用基準に差が生まれやすくなります。その結果、担当者によって候補者の評価が分かれ、選考をスムーズに進められないことがあります。
採用ターゲットを明確にして社内で共有することで、確認すべき経験やスキル、人柄などが整理され、書類選考や面接の基準をそろえやすくなります。
採用ターゲットと採用ペルソナの違い
| 比較項目 | 採用ターゲット | 採用ペルソナ |
|---|---|---|
| 表すもの | 採用したい人材の条件や範囲 | 採用ターゲットをもとに、架空の人物像を具体的に設定したもの |
| 例 | 法人営業経験1年以上で、顧客へのヒアリングをもとに提案した経験がある人 | 32歳、法人営業経験5年。顧客へのヒアリングをもとにした提案営業を担当し、チームリーダーも経験。これまでの経験を生かしながら、裁量を持って働ける環境を希望している |
| 主な用途 | 採用する人材の範囲や選考基準を決める | 求人票で伝える内容や、候補者へのアプローチ方法を具体化する |
採用ターゲットの決め方【4ステップ】
1.採用の目的と任せる仕事を明確にする
採用ターゲットを決める際は、まず採用の目的を明確にしましょう。欠員補充のための採用なのか、事業拡大に伴う増員なのか、新規事業を始めるための採用なのかによって、求める人材は異なります。
次に、入社後に任せたい仕事を具体的に整理します。担当する業務や役割が明確になることで、その仕事に必要な経験やスキルを考えやすくなります。
例えば、営業職の欠員補充であれば、前任者が担当していた業務や顧客、業務に必要なスキルを整理します。一方、新規事業を担当する営業職を採用する場合は、新規顧客の開拓経験や、決まった進め方がない状況でも行動できる力が求められることがあります。
2.必要な経験・スキル・人柄を洗い出す
採用の目的と任せる仕事を整理したら、その仕事を行うために必要な条件を洗い出します。経験やスキル・資格だけでなく、仕事の進め方や人柄についても考えましょう。
例えば、法人向けの新規開拓営業を任せる場合は、次のように整理できます。
- 経験:法人営業における新規顧客の開拓経験
- スキル・資格:顧客へのヒアリング力や提案資料の作成スキル
- 仕事の進め方:自ら目標を立て、進捗を管理しながら行動できる
- 人柄:顧客や社内の関係者と丁寧にコミュニケーションを取れる
このとき、「明るい人」「コミュニケーション能力が高い人」といった曖昧な表現だけで終わらせないことが大切です。実際の仕事でどのような行動を取ってほしいのかまで具体的にすると、選考時にも確認しやすくなります。
3.必須条件と希望条件に分ける
必要な経験やスキル、人柄を洗い出したら、それぞれを「必須条件」と「希望条件」に分けます。必須条件とは、入社後に仕事を任せるために欠かせない条件です。一方、希望条件は、あれば望ましいものの、入社時点では満たしていなくても検討できる条件を指します。
求める条件をすべて必須にすると、何を重視して採用したいのかが分かりにくくなり、対象となる人材も少なくなってしまいます。そのため、条件に優先順位を付け、採用に欠かせないものだけを必須条件にすることが重要です。
例えば、法人営業職を採用する場合、「法人営業経験1年以上」を必須条件とし、「マネジメント経験」や「特定の業界での営業経験」を希望条件とする方法があります。入社後の研修や実務を通して身につけられる経験やスキルは、希望条件として検討しましょう。
4.条件の現実性を確認し、社内で認識を合わせる
必須条件と希望条件に分けた後は、設定した条件に当てはまる人材を実際に採用できそうか確認しましょう。求人媒体に掲載されている他社の募集内容などを調べ、求める経験やスキル、給与、働き方などを比較します。
例えば、法人営業経験に加えてマネジメント経験も必須としているにもかかわらず、給与水準が未経験者向け求人と同程度であれば、応募が集まりにくい可能性があります。その場合は、マネジメント経験を希望条件に変更したり、給与や仕事内容を見直したりする必要があります。
また、採用ターゲットを面接官や現場責任者にも共有し、社内で認識を合わせることで、選考時の判断基準をそろえられます。
採用ターゲットの設定例
| 比較項目 | 設定内容 |
|---|---|
| 曖昧な設定 | 営業経験があり、コミュニケーション能力が高い人 |
| 整理後(必須条件) | 法人営業経験1年以上で、顧客へのヒアリングをもとに提案した経験がある人。自ら目標と進捗を管理し、社内の関係者と相談しながら仕事を進められる人 |
| 希望条件 | マネジメント経験または同業界での営業経験がある人 |
このように、経験やスキル、仕事の進め方などを具体的に整理することで、採用担当者や面接官が共通の基準で候補者を判断しやすくなります。
採用ターゲットを決める際の注意点
採用ターゲットと応募資格を混同しない
採用ターゲットは、自社が採用したい人材の条件や範囲を整理したものです。一方、応募資格は、求職者が求人に応募するために満たす必要がある条件を指します。
採用ターゲットとして挙げた条件をすべて応募資格にすると、仕事をするうえで問題のない人まで応募対象から外してしまう可能性があります。応募資格には、任せる仕事に欠かせない経験やスキルを設定し、入社後に身につけられるものは希望条件として検討しましょう。
また、募集・採用では、例外に該当する場合を除き、年齢による制限が禁止されています。性別を理由とした差別的な取り扱いも禁止されており、家族構成など本人の適性や能力に関係のない事項で採否を決めないことも重要です。
参考:厚生労働省「募集・採用における年齢制限禁止について」
参考:厚生労働省「公正な採用選考の基本」
参考:福井労働局「男女雇用機会均等法のポイント」
応募状況に応じて見直す
採用ターゲットは、一度決めたら終わりではありません。求人を掲載した後は、応募数や応募者の経験・スキルなどを確認しましょう。
応募が少ない場合は、必須条件を厳しく設定しすぎていないか、自社の給与や働き方が求める人材に合っているかを見直します。一方、想定と異なる人からの応募が多い場合は、求人票で仕事内容や求める人物像を具体的に伝えられているかを確認しましょう。
まとめ
採用ターゲットを明確にすることで、求人票の内容や採用手法を決めやすくなり、社内の選考基準もそろえやすくなります。
採用ターゲットは、次の4ステップで設定しましょう。
- 採用の目的と任せる仕事を明確にする
- 必要な経験・スキル・人柄を洗い出す
- 必須条件と希望条件に分ける
- 条件の現実性を確認し、社内で認識を合わせる
設定後も応募状況を確認し、必要に応じて条件を見直すことが大切です。まずは、入社後に任せたい仕事を整理するところから始めてみましょう。
